大学相撲の稽古の厳しさ、伊東さんの強さを目の当たりにしながらも日々を必死に過ごしていた、そしてついにこの日を迎える。直接伊東さんに胸を借りたのだ。一回生(近大・果ては関西は一年生とは言わず〜回生と言う)ながらその日は絶好調で、並いる先輩たちから勝ちまくり土俵を僅かながら独占した。それを見ていた伊東さんがヨシと土俵に入ってきたのだ。嬉しくて仕方なかった、絶対勝てないんだから思いっきり当たっていった。本気を出してなかったので勝たせてもらったが、ある一番、頭からかましていったのが顎に命中。カチンときたのか、そこからは万力のような握力でまわしを取られなす術なし、怒らせてちょい本気にさせてしまった。最初はそんな感じでなんとか稽古についていったが、段々体重も落ち、体力がなくなり勝てなくなっていった。大学相撲の試練、一回生はやはり雑用の一切合切をやるので大変なのだ。そんなことを察してか、伊東さんはよく夜食に連れていってくれた。とにかくたくさん食べさせてくれた、他の同期はどうかわからないが、大食感だった私はとても嬉しかった。いい時ばかりではなく、苦しい時も厳しくも温かく見守ってくれる伊東さんの期待に応えたい。大学生だからそんなセリフ外じゃ言えなかったが、心の中にそっと秘めたのだった。