伊東勝人vol.8

全員が全員やる気を持って取組み、同じ方向に向かっていく。それはほぼ100%無理な話である。私も主将として身を持って知った。でも伊東さんだけはそんな私の気持ちを察し、常にアドバイスをくれた。私の主将としての役割は決まった、背中で生き様を見せる。簡単に言えばトップが一番稽古すれば文句は言われないし、言わせない。そして、試合で結果を出せば尚更だ。監督にも恩返しが出来る。腹が決まったら迷いはなかった。春の遠征で宇佐大会団体優勝し、8月の弘前大会も優勝、その他にも二位、三位とコンスタントに結果を出した。しかし、それは過去の先輩もボチボチクリアしてること。やはり、インカレで優勝しない限り恩返しは果たせない。そこで私は皆んなにインカレ前の合宿で告げた。「選手として出れるのはたった9人、選ばれずに悔しい思いをした人間もいたと思う。けれどだからと言っておれ知ーらないっていうのは今だけやめてくれ、みんな1人1人役目がある。選手は試合で勝つためにプレッシャーに苦しむ、他の人間はサポートして欲しい。そのかわり結果は残す」と。一瞬ではあるが、全員同じ方向に向かっていったのは確かだった。自分にしか出来ないこと、それすなわち誰もまだやってないこと。私は突拍子もないことを提案した。マワシのカラーをかつての全盛時代の紺色に戻すことである。高知国体に出場した際に現高砂親方のご実家にお邪魔した時のこと、親方が学生時代の写真がカラーで大きく飾られていた。「マワシの色がカッコイイ」思わず口に出てしまった。伊東さんがしみじみ言っていた、「昔は紺色のマワシで、このカラーのマワシをつけて試合に出れることが誇りだったよ。もう一度戻したいよな」というのを思い出し、そのタイミングは今しかない!インカレ出るレギュラー全員にその旨話し、満場一致で了承を得た(1人意味不明にそんなことするなら試合に出ないと言った馬鹿がいたが、伊東さんに怒られ後に謝罪)。全員の気持ちが一つになり、マワシの色を戻し、会場は大阪は堺の大浜。舞台は整った、あとはやるだけ!

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