なんという突拍子もないタイトルだろうと感じたことだろう、しかし腹は侮れない。まずは私の実体験から話したいと思う、先日とても寒い思いをした。引退してから手の冷えが酷く、どうしようもなく極限までいったところで腹に力を込めた。そしたら手の冷えが緩和されたのだ、バイクのハンドル握ってて感覚も麻痺し始めたので、九死に一生であった。
腹という言葉は、「腹を決める」とか結構大事な言葉として使われる。お臍の下には丹田というツボもあるし、体の中心としての役割を果たしているはず。心も体も腹を基点としているのだ。しかし、最近の日本人はこの心身共に感覚が腹中心ではなくなってきている。
さる武術家の先生に聞いた話だが、怒った時に昔は「腹が立つ」だった。怒りがお腹だった、お腹だった故に収まるの早かった。しかし、それが「ムカつく」となり胸に上昇してくる。収まりにくくなり、ムカムカして落ち着かない。そして遂には「頭にくる」に突入、そのさきに「キレる」があり、それ以上はついに事件ですわ。
人間生きてる上で「喜怒哀楽」はどうしても起こり得る感情だ。しかし、一刻でも早く元に戻せるようにしなければいけない努力も必要だ。「腹が立つ」という身体感覚なら早い段階で戻せた。しかし、体の上部に移動するにつれてそういった怒りの感情は消化しにくくなっている。これは一大事なことだ。
相撲でもそうだ、下半身が脆く前にパッタリ落ちる力士が多い。なぜ今の時代に叩き込みや引き落とし、いなしが多用されているか?昔の力士が楽して勝とうとせず地道に前に出ようとしたから?押し相撲中心じゃなく、四つ相撲が中心だったから?そんな複雑な話ではない。ただ単に叩きやいなしが効かなかっただけだ、足腰が強いというか、足腰が使えていたということだ。
現代人が床に直接胡座や正座で座らずに椅子に座る習慣が増えたことで足腰を使うという行為自体が減っているのだ。椅子に座れば、あとはバランス取らなくてもいい、これに机がプラスされれば上半身までグニャッとなってしまう。これを弊害とは言わないが、間違いなくスポーツの世界にも影響しているだろう。
正座なんて、足が痺れる痛い動作と思われがちだが、これほど理にかなってるものはない。なぜなら一番体のいい姿勢を保たせてくれる。正座をしてる以上逆に悪い姿勢になれないのだ。勝手にバランスよくしてくれるから、どこそこを意識してとか煩わしいマニュアルはいらない。
これが胡座になると、若干お腹を意識しなければならなくなり、椅子に座れば上半身全体を意識しないといけない。先程の「腹が立つ」「ムカつく」「頭にくる」と少し結びつかないだろうか?日常生活の習慣が心の習慣に結びついてる。
ややこしい話などいらない、腹に力を込めるというか意識するだけで冷えが改善する=健康になるというメリットに特化すればいいだけ。お腹も引き締まるし、ダイエットにもいい。いいことしかないのだ。
お腹の意識の入れ方だが、お腹に力を入れようとすると、お腹に凝縮されていくのだが、これだと逆に変な感じになる。閉じ込めてしまうのではなく、お腹がお日様のようにお腹から体全体に広がっていくように意識する。下半身なら下の方へ、上半身なら上に広がるようにする。最初私もお腹だから、体全体で意識を下に下にしてたが、どうもまずかった。体の上と下の境目なんて、人それぞれ微妙に違うのでここから上ここから下なんてわからないが、360度お腹から広がるようにしてみてほしい。
現代病に薬やらなんやらややこしいことはいらない。自分の身一つで改善できることは沢山ある、今一度シンプルに考えたいものです。