男社会である大相撲、男性として一番脂が乗っている年代の力士達である。体力もさることながら性欲もたっぷりとある。しかし相撲部屋は修行の場であるからして、恋愛を禁止というわけではないが奨励もしてない。あまり褒められた行為ではないので、交際はこっそりとやるのが通常である。
昔の力士の方の自伝を拝見すると、「素人娘には手を出すな、女は買え」と言われたと書いてある。確かにそれはごもっともである、お店の女の子は後腐れがない。さっぱりしてるし、余計なところまで介入してこない。だがしかし悲しいかな金が続かない、風俗だって決して安くはない。世間でイケメンなどと言われている(あくまで大相撲ファンの中だけでの話だが)相撲取りなら、引手数多だろうがそうでない人間は出会いもないから、卑猥な雑誌で自分で慰めるしかない。今ならスマホの動画で探せるだろうか・・・。問題はその行為を行う場所であるが、幕下以下の人間は大部屋でありそこで行為に及ぶことは到底無理な話である。したがってトイレ(大きい方)が一番該当する、だが大勢の人数がいて、一個しか便器がなかったらおちおちしてはいられない。みんなが寝静まってる夜中など、それなりに涙ぐましい努力をしている。
そんなこんな生活しながらも応援してくれるファンも現れる場合がある。本場所で取り組みが終わって帰る時に、お土産をそっと渡してくださる。その中に手紙が入ってい、電話番号も書いてあったのならかなり好意的である証拠だ。かと言っていきなり連絡するのも憚られる、何場所か同じようにお土産をいただいたならもう大丈夫だろうと勇んで連絡を取る。
普段男としか接しない生き物に取って女性はどう話したらいいのか、土俵の上と同じくらい緊張する。勇気を持って食事に誘いいざ話す、男同士なら気楽に話せるはずが、思うように会話にならない。ここで、土俵上のイメージと違う、こんなはずじゃなかったと自然消滅することもあるが、本当に好きならその不器用ささえ魅力的に感じると思う場合もあり、めでたくお付き合いが始まる。ここからが人生の分かれ道で、本当にその力士を好きならば奮い立たせ本業で成功させるようにする。そんなに好きではないけれど、ただ丁髷を結っていて大きい人と交際したかったという人は、たいがい力士をダメにする。ただの自己満足に付き合わされるだけというオチだ。
一番残酷なのは、あれだけ誠心誠意尽くしてきてくれたのに、引退して丁髷を切った瞬間に別れるという話。結局人としての本質など見ていなかったのだ。
力士の恋愛というものは非常に非情なのである。
