9月12日から大相撲が開催されている。初日は所用のため相撲が見れなかったが、二日目からYouTubeでも中入から生配信して解説&実況を行いながら見た。緊急事態宣言下でありながらたくさんのお客さんが国技館に見に来ている、まずはそこそこ盛り上がりを見せているのでよかった。それでは、二日目の中入の取組で気になった相撲を数番取り上げて見たいと思う。
まずは豊山ー輝の一戦。かつて期待されていた二人が幕内下位での対戦というのが少々寂しい、そして相撲内容においてもそんな感じがした。お互い押し相撲なので突っ張り合いになる、しかし豊山は上背のある輝の顔目がけて突っ張っているので自身も腰が上がる。そして上背がありながら、腰高なので余計に目線が上の輝は突っ張りに圧力が伝わってない。結果的には輝が勝ったが、なんとも歯切れの悪い相撲であった。豊山は背が低いし、組んでもそこそこ相撲は取れるので相手の懐に飛び込んでまわしを取って寄っていってもよかったのでは?明らかに稽古不足であろう、毎回気合いの入っていない大関との稽古では、良い相乗効果は生まれない。そして、輝の方も課題である腰高に改善する様子は見られない。しばらくその動向を見守ったが、どうやらもう腰の位置を低くすることは難しそうだ。両者とも素質のある力士だけに残念である。
次に宇良ー照強戦であるが、宇良に関しては初日の相撲も含めて、増量が仇となっている感が否めない。もし小兵のままなら両日とも勝っていただろう。宝富士戦は何も出来ずに完敗、二日目だって体重増加でなければ、土俵際の突き落としは残せていただろう。体重増加というのは簡単に押されなくなり、相撲が楽になる。しかし自分も動きにキレがなくなるのだ。もはや業師というイメージは過去の話、上位にとって今の宇良は怖い存在ではなく、その他力士と変わらずだろう。また大怪我しないことを祈るばかりである。対する照強であるが、終始張り手を繰り出す相撲であった。見苦しくて仕方ない、ああいう相撲を取るということは稽古不足を露呈している。まともじゃ勝てないから、汚い手を使うしか術がないのだ。
少々辛口ばかりで申し訳ありません、口直しに玉鷲ー千代翔馬戦を振り返りたいが、ベテラン玉鷲は先場所の好調をキープしている。何をしてくるかわからない千代翔馬なので、立ち合い踏み込まずに様子を見ながら相撲を取ったが、冷静に捌いて勝った。押し相撲の生命線である立ち合いの当たりが出来なくても勝てるところが凄い。出稽古出来ずにいるのにどうやって仕上げているのか不思議だ、玉鷲こそ上位が怖れる存在である。
次は琴ノ若。初日に玉鷲に負け、悪い流れを作るのではと思っていたら、相手の大栄翔のお株を奪う素晴らしい出足で快勝した。自信にはなると思う、しかし顎が上がる癖と腰高が目立つので、その影響が出ないか心配だ。今は伸び盛りだから、細かいことは気にしない方がいいのかな?最後まで注目したい力士だ。
御嶽海ー北勝富士のライバル対決は、消化不良で終わってしまった。北勝富士が勝っていたが、内容は御嶽海だろう。御嶽海の関脇の地位を保つスタンンスはあっぱれとしか言いようがない。好角家の経営者さんの話を聞くと、彼のスタンスが一番理想のモデルらしい。
確かに大関に上がればプレッシャーをかけられる、かといって平幕だと箔がつかない。三役、特に関脇の地位というのはある程度の存在感はキープできる。そして、いい意味で必死さがなく自然体で相撲を取っている。なるようにしかならないというスタンスで肝が座っているので一番一番の精神面での負担が少ないのである。これは実力がなければできないこと、本人がその気になればすぐに大関へ向けてエンジンもかけるだろう。このスタイルがいいとは言えないが、彼の生き様はもう市民権を得たみたいだ。対照的なのが北勝富士、毎回必死に相撲を取っている。その渋い生き様は称賛に値するが、私なりに分析すると、実は穴がある。毎度気づくのだが足が滑っている。土俵の砂は毎度滑った後が残る。車のタイヤがスピンしているようなものだ、必死に取ってはいるつもりなのだが、本人も気づかないうちに足が本来の動きをサボっているのだ。その原因は膝のサポーターだ、昔怪我したのでつけていると聞いたことがある。では今も痛いのだろうか?サポーターなしでは痛くて相撲にならないのなら仕方ないが、怪我予防の保険でつけているならば、外さないとだめだ。サポーターつけているから、下半身は安心・安全と緊張感がなくなっている。だから上半身ばかりに力が入り、バランスが悪くなっているのだ。ずっとつけていたものを外すのはとても怖い、でもその恐怖心で全身がピリピリ電気が走るくらい張り詰めれば、体全体が集中し全身がくまなく均等に力を出してくれる。そこにぜひ気づいてほしい。
最後は隆の勝ー明生戦で締めます。短い時間の中にお互いの力が集約された一番だった、明生は体調は悪くないが新関脇の緊張感がまだあるみたいだ。しかしそれも徐々に解消されるだろう、元関脇で数場所維持した隆の勝の意地が垣間見れた一番であった。
三日目も楽しみだ。