今場所の優勝の行方は見えた

 五日目も終わったあとでこんなことを言うのは後出しジャンケンみたいでなんとも心地よくないのだが、もう絞られたであろう。横綱照ノ富士と大関貴景勝のどちらかが優勝する、間違いない。

 千秋楽までの展開は貴景勝が14戦全勝、照ノ富士が13勝1敗で直接対決し、優勝決定戦へ。そして、貴景勝が勝って優勝する。この流れだろう、貴景勝の充実ぶりはとても良い。こんな調子のいい場所は久しぶりだ、怪我さえなければおれはこれだけやれるんだという気迫が伝わる。

 そして、この2人の優勝争いにおいてキーマンとなる人物は明生だ。ここ数場所前半戦勝てなかったが、稽古の充実と地力が備わったおかげで関脇という地位で勝ち越してきた。そして、今場所も苦手を倒し、鬼門の序盤を3勝2敗としたことで波に乗ってきた。先場所初めて照ノ富士に勝っているし、気後れする部分が見当たらない。明生が台風の目となり今場所を盛り上げてくれるだろう、関脇が強い場所は面白いというがまさにそれになるかと思われる。

 髙安が頑張っている、妙に考えすぎて無駄な動きが多かったが今場所は少ない。逆に動かなさすぎて偉く長い相撲が目立ったが、波に乗ってくれば徐々にそれも解消し、早く勝負を決めれるようになるだろう。しかし、優勝争いに絡むキーマンになることはないと読む。序盤の長い相撲は必ず後半に響いてくる、勝ち越しとかは狙えるがよくても11勝くらいだろう。

 再入幕の阿炎も序盤全勝で終えた、久しぶりの幕内では出来過ぎだろう。不祥事で出場停止となった分を取り返すかのごとく力を発揮している、怪我・病気してるわけでなく、ただじっと場所に出れなかったことを考えれば土俵の上に立てるだけでも嬉しいこと。モチベーション・アドレナリンの量も他の力士の比ではない、そしてコロナ禍であることも彼の追い風になっている・・、お客が彼にヤジを飛ばせない。だから誹謗中傷など、覚悟の上ではあるが観客が声を出せない状況なので、精神的に楽であろう。

 しかし、勝てば勝つほど割を崩され上位と当てられる。上位も黙ってはいないはずで、絶好調の力士を蹴落とそうと躍起になる。なので、優勝争いは無理であるが、三賞は敢闘賞を狙えるだろう。この好調は、今場所までで来場所はできないはず。久々復帰というバブル的な精神作用で動けているが、本人も周りも来場所になれば特別感は収まってしまう。元々いた場所に戻っただけなので、その他幕内力士と同じ実力に下がるだろう。もし、来場所もこの勢いが続けば大関になれる逸材を証明する。

 宇良も頑張っている、対戦相手の仕切りの時の動揺ぶりといったらないから面白い。何か仕掛けてくるのかと思ったら、正攻法で前に出てくる。前に出てくると思い押し負けないようにこちらが出ていこうとすれば何か仕掛けてくる。悩ましい存在だ、いずれ相撲を覚えられてしまうのでこの状況は続かないだろうが、勝つ時に勝っておいた方がいい。二桁勝てば三賞はもらえるだろう、勝敗にかかわらず上位と取組が組まれたらワクワクする存在だ。

 2年ぶりの11月場所は九州の皆さんも待ちに待ってたのがよく伝わる、テレビを見ると着物を着たお客さんがたくさん見える。こんなお客さんが喜んでくれる場所がいつまでも続くことを願ってやまない。

 この間のABEMAで辛口だった言われたがそれは否定しない、しかし私は相撲が三度の飯より好きなのだ。ただそれだけである。

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