名古屋場所

 大相撲名古屋場所が始まった、一つ言わせて欲しいのだが、この「名古屋場所」というのは、本場所の正式名称ではない。「七月場所」というのがそれにあたる。相撲界の中にいた人間なら、あたり前田のクラッカーくらい誰でも知っていると思うし、相撲ファンの人も知っていると思う。ちなみに私が知ったのは、小学4年の時テレビでデーモン小暮閣下が言っていたのを見た時だ。同時に出演していた琴富士関という力士はその話を聞いて「そうなんですか!?」とびっくりしていた。長年相撲界に在籍し、当時奇跡の平幕優勝を果たした男がそんなことも知らないのかといささかいただけないが、これも鈍感力の一つと捉えよう。

 結局この名称を使っているのは基本NHKさんと最近ではABEMさんかな?本場所の正式名称は「一月場所」「三月場所」「五月場所」「七月場所」「九月場所」「十一月場所」である、ただ行われる月を冠にしただけ。簡単でしょ?これがNHKさんの呼び方になると「初場所」「春場所」「夏場所」「名古屋場所」「秋場所」「九州場所」となる。こうやって自分で書いていてもなかなか面白い。どちらが正しいとかもはやどうでもいい、NHKさんの呼称は季節感があっていい。世間一般の人はこっちの方がしっくりくるだろう、実際私の親父に「十一月場所」と話したら混乱していた。それを察して、「九州場所」と訂正したら話が通じた。しかし、自分の息子が14年も在籍した世界なのに、九州場所が十一月に開催されることくらい覚えててもいいはずなのだが・・・。

 この本場所の呼び方を更に深く掘り下げていくと、また違う呼び方が浮上してくる。一つ目は三月場所、開催されるのは通常大阪なので、向こうの人は「大阪場所」という。やはり自分の地元で開催されるのだから、冠に使いたくなるのは当然だ。もう一つは、七月場所。名古屋で開催されるが、向こうの人は「夏場所」という。ここは少しややこしいところであるが、夏場所は本来旧暦の関係で、五月場所を指す。しかし、七月の暑い盛りの時に本場所が開催されるから、どうしてもそう認識してしまうのだろう。あとは十一月場所を福岡場所という人もいたことはいたけどあまり印象にない、福岡では飲み歩いていたから、記憶に残らなかったのかも(嘘)。

 かなり話が脱線してしまった、昨日はYoutubeでも生解説したが、肝心の土俵上の相撲の内容を振り返りたい。中入の相撲は、前半から好取組、そして役者が揃っていた。まずは前半の顔である宇良であろう、体の大きい大奄美に得意の形右四つに組まれ、密着されながら前に出られたが、相撲勘の良さで下がりながらも、程よい距離感を保ち動き続け、攻めが疲れてきたところで、逆転の突き落としを決めた。お客さんの期待通り、熱戦を展開し勝ちを収めてくれた。しかし15日間解禁するには、あの相撲では持たない。膝に負担がかからないようにするためにも下がらない回り込んで翻弄する相撲を取った方がいい、もっとも本人がそれを一番わかっているとは思うが。

 西前頭五枚目に上がってきた豊将龍の相撲が強かった。叔父の朝青龍を彷彿とさせるスピード、力強さ、気迫が漲っていた。まだ初日なので楽しみを取っておきたいからあまり彼のことには触れたくないが、上位にとっては怖い存在であることは確かである。琴恵光ー翔猿の一番も相手のお株をうばうような鮮やかな蹴返しを決めた。私は相撲歴27年であるが、足技を決めたことが一度もないので、ああいう技を使える人が羨ましくて仕方ない。

 さてラストの二番を振り返りますか、まずは照ノ富士。勝負はあっけないように見えたが、対戦相手の遠藤はしっかり作戦を練って動いていた。差せば、腕を極められ引っ張り込まれてしまう。得意の左は差さず、右上手を狙いにいった。しかし、照ノ富士はそんな遠藤のお株を奪うかの如く、遠藤の浅い上手を、自身があえて差してから外四つにチェンジしたことで、下手に変えてしまった。そうなると力の出にくい遠藤はなす術なく土俵を割るしかなかった。まるで燻銀のような相撲である、本人のアクシデントでもない限り、この牙城を崩すことは、他の力士では不可能であろう。けれども、そんな完璧な相撲さえも印象を薄くしてしまうのが横綱白鵬の存在。内容についてはともかく、新進気鋭の新三役明生を向こうにして白星をもぎ取った。勝った後の鬼の形相は一体何を物語っていたのだろうか?勝ったことでのアドレナリンが一気に放出したのだろうか?それとも、膝が痛かったのか?痛くないけど、昔の痛みがフラッシュバックし、警戒しての表情だったのか?

 まだ初日を終えたばかりで気が早いのだが、今場所の主役は間違いなく横綱だろう!巷では進退問題がクローズアップされているが、本人はこの言葉の解釈が我々日本人と少々違うみたいなので、引退はないと私は思います。それより皆勤して欲しいのが我々の願望です。15番みたいですもの、とにかく目が離せませんね!

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