相撲物語 その弍

生前祖父が愛してやまなかった大相撲中継、儀平にはその面白さが全く理解できなかった。何が楽しいのか質問することさえ面倒くさかった。試しに一緒に観てもやはり面白くない、こんなつまらないもののどこがいいのだろうと、イライラがつのるくらいであった。裏番組のアニメが観れないのもその原因の一つであったかもしれない、祖父の家に行った時のチャンネル権はもはや諦めざるをえなかった。孫としての可愛さをアピールする特権すら放棄するほど、祖父は相撲を心から堪能していた。

葬儀やら何やら全てが終わった。地味な祖父だったのだが、弔問客の多さに儀平は驚かされた。亡くなって初めて気づいたその偉大さ、9歳ながらももっと色んな話がしたかったと少々の後悔を感じつつも、約一週間空けていた自分の実家に家族と共に戻った。

儀平はそれまで感じたことのなかった家の匂いを感じた、なんせそれまで一週間も家に帰らなかったことはなったのだから。郵便受けには大量の宿題のプリントが・・・。近所の同級生が入れてくれていたのだが、身内の不幸があっても現実は容赦無く迫ってくる、この時すでに世の儚さを感じていたのかもしれない。儀平は少しおませだった。

翌日久々に学校に行く、久しぶりに会うクラスの皆んなは天使に見えた。ほんの一瞬だがとても優しく話しかけてくれる。

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