蹲踞

相撲の基本。蹲う(つくばう)に踞(こごむ)と書く。蹲うは平伏・平身低頭、踞むはしゃがんだ状態で礼をするさまという意味だそうだ。

足に尊いと書いて蹲、足が居ると書いて踞。どちらも足のという字が使われていることからも足腰・下半身が重要なのだということがわかる。

相撲では取組前に蹲踞をして互いを見合う、土俵という神聖な場所で心を鎮め、呼吸を整え、正々堂々と戦う意思表示として存在する。やり方は閉じた両足閉じた状態でかかとを上げ、その上にお尻が乗るようにしゃがむ。これが簡単なようで難しい、足腰の鍛錬がなされていなければバランスが崩れ見栄えがよくなくなる。テレビで蹲踞に注目してみよう、好調な力士ほど綺麗に蹲踞しているはずだ。 

 なお、稽古においても相撲を取る時はもちろん蹲踞から始める。一番一番乱れた呼吸を整えるために行う。そして、稽古前や稽古後にも蹲踞をし、黙想をする。八角部屋は稽古の最後に蹲踞して黙想、その間に師匠の言葉をいただくという感じだった。

蹲踞は相撲の世界だけに存在しているわけではない。剣道では試合前に敵に勝つための心の下の作りのため、動悸の速やかな納め方として。茶の湯の世界でも蹲踞と書いてつくばいとして、茶室という特別な空間に入っていくための心身の準備という意味で身を低くして手を洗うさまをいう。

まとめれば、どの世界でも特別な空間への心の準備、そして呼吸法の一つでもあるのだ。

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