いいこと、悪いこと。

 最近は幸せになるための方法やらという書籍が、次々と出版されている。家をキレイにすれば幸せになれるとか、もはや当たり前にやることに対して、何らかの自分にとってメリットのある動機づけがなければ出来ない人が増えてしまった。私から言わせれば、いいこと悪いことという概念さえこの資本主義という悪しき慣習から生まれてしまったのではないかと疑ってしまう。この世の全ては、いいことがあって悪いことがある。それが絶えず繰り返し身に降りかかってくる、冷静に考えてほしい。天気だって晴れの日ばかりではない、雨の日だってある。もっと深く掘り下げれば、人間は晴れたほうがいいが畑の作物にとっては雨のほうがいい。しかし、そればかりでもダメ。このように複雑で答えようのない、ラビリンスのような世の中に一体幸せを求めることなどいかがなものだろうか?考え方なんてその時代その時代で変わる、商品だってそうだ。だから幸せになる方法なんていうものを追い求めること自体無謀なのだ。

 我々人間の遺伝子には、太古の昔からのDNAが脈々と受け継がれている。大自然の中で、明日にも死ぬかもしれない常に危険との隣り合わせを必死に生き抜いてきた強靭な精神力だ。これがずっと続き、命の危険との隣り合わせの時代が終わったのは歴史上ほんのつい最近のことである。警戒して警戒して、いつ困難がきてもいいようにプログラムされた体に、現代は何もなさすぎて逆に具合が悪くなってしまっているのだ。自転車で猛スピードで爽快に走りたいのに、補助輪を無理やりつけさせられたようなもどかしい感覚だろう。こういったことがうつ病などが後を絶たず、自殺者が増え続けている原因になっている。あとは、自分自身に注意を向けるエネルギーが使うことなく無駄に余り、それを他者のために注力される。これがネットの炎上なのであろう、今の時代というのは人間にとってとても住みにくい環境なのだ。なので、幸せになる方法などの自己啓発本は単なるビジネスのために本を売ってるだけであって根本的な解決にはならない。

私なんか、例えばいいことがあった時なんかは逆に怖くなって次は更に強い悪いことが起こるんじゃないかという考えだった。ではその逆に悪いことが起これば次更にいいことが起こるんじゃないかと考えたかというとそうではない。悪いことの時はそのままずんずん深みにはまっていった、いいことが起きても、悪いことが起きてもどちらにせよメンタル的には悪くなっていった。これは、やはりこの世のあり方というものをわかっていなかったとしか思えない。昔の人の方が世の中の真理を理解してたように思う、それをしっかり言葉に残している。「人間万事塞翁が馬」なんて、本当に腑に落ちる様な意味である。でも欲を言うと、これも楽あれば苦あり、苦あれば楽ありみたいな感じでうーんという感じである。苦も楽も何もない、死ぬまでひたすら生きるというのが人間であるから。

 今日本人が一番心が病む原因は、西洋式の考えではないだろうか?信じるものは救われるとかシンプルに言葉にして発信している、このサプリメントを飲めば健康になるなんて広告見たら飛びついてしまうのが今の人。たぶん昔の人は食いつかないだろうね、不便な時代を生き抜いた人はそんな怪しい話には食いつかないし、むしろサプリメントに頼らず自分で健康になってやるという気構えだったろう。こうすればいいなんて、単純ないものは存在しないのだ。しかし、騙される人は後を絶たない。こういったことに騙されない様にするには、まずは畑を始めることをおススメしたい。畑はまず思い通りにはならない、一生懸命やれば報われるなんていう単純ない世界でもない。待ってもくれない、悩む暇がない。命の恵みをいただくまでただひたすら一心不乱に作業するしかない、大地を耕し、種を植え、草をむしる、虫・鳥・獣から守る、また草を刈る、やっと収穫する、また植える、といった風にオフがない。こんな大変なことしなくてもスーパーで買えると思うが、収穫した時の感動というのは何にも変え難い。それまでの苦労と比較しても損してるかもしれない、それでもやめられないから不思議だ。

 これは生存本能が働いているからかもしれない、狩猟が今できない分、自然の恵みをいただき、畏敬の念を抱く。そうやって昔の人は死への恐怖を乗り越え日々生き抜いてきたのだろう。

 あとは、やはりここで相撲術が登場する。自己啓発本よりは役に立つのでオススメしておく、私が考えた相撲操練法というのがある。相撲の様々な所作をゆっくりと深呼吸しながら行う、この時体の状態はこの世の全て、いわゆる森羅万象になっている。下半身は大地の木の根、呼吸は波の音、上半身の動きは木々の芽、ゆっくりした動きは山から海に向かって流れる川である。この時の丹田の力の入れ加減をインプットしておく、いいことにつけ悪いことにつけ、体は反応するとこの丹田に集まった軸が一旦ブレる。これが、精神の動揺となる。お腹の状態を冷静に見て、明らかに軸が上の方、横隔膜あたりに移動していたら悩みや不安の前兆となるので下に戻してあげる。

 心の悩みを複雑に解決しようとしたところでストレスは更に強くなり堂々巡りとなる。シンプルに解決するのが一番である。不安、焦り、怒り、など負の心理状況の時の体の状態どうなってますか?今一度冷静に調べてみてほしい、自分の体は自分で治せるのだ。それが本当の自信である。

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