八角理事長のコメントに今の相撲協会の指導力のなさが垣間見える。

昨日の記事をここに載せる

https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202301120001156.html

これを読んだ人達はどう感じただろうか?私はがっかりして力が抜けた。「要領よくいっている、うまくさばこうとしたのが裏目に出た、もっとガツンといかないと」・・・。もっともらしいことを言ってるようだが、ただ単に結果論しか述べてない。要領よくという表現も、昨日の1番に関しては相応しくない。工夫した立ち合いと表現すべきだ。昨日の1番を見て、なんら手抜きをしている様子はなく、むしろ今自分ができる最大限の動きをしたと思う。

大栄翔は、正攻法で立ち合いの圧力がとても強い。何人たりともまともにぶつかり合って勝負して敵うことは厳しい。豊昇龍は特に体が小さいから玉砕してしまうのは必至、それは土俵上で対峙してる人間が感覚として1番わかることである。だから、あえてフワッとした圧力のない立ち合いを展開した、そうすることで、大栄翔の立ち合いのタイミングをずらし、圧力を弱らせたのだ。考え抜いた立ち合いであると見ていい、決して手抜きをしたのではない。セオリーではない、リスクも背負う立ち合いであえて挑んだことは「厳しい立ち合い」でいいのではないだろうか?

思い切っていかないから厳しい立ち合いでないというのは浅はかな考え方としか言いようがない。あえて負けることをするのが美徳ではすまされないのだ、昨日の1番は結果として負けただけで、今できる最高のパフォーマンスを豊昇龍は見せた。

ここに豊昇龍の強さの真髄が垣間見れる。自分で考え、全てを出し切っているから他の力士以上に自分の現状、改善すべき点をしっかり把握できるのだ。言われたことしかやらない人間では、何がよくて何が悪かったのか体で感じることはできない。言われた通りやってればいいという「昭和」の考え方では、通用しないのだ。

まともにぶつかり合って激しい攻防が見れるのが理想かもしれないが、負ければ意味はない。立ち合い変化でさえ決してルール違反ではないのだから、それで勝負が決したところで文句は言えないのだ。立ち合い変化をなくしたいなら、ルール上禁止すべきか?それは無理な話。禁止することで、相撲の動き全体が萎縮し、ますます面白くなくなる。

 変化・引き・はたきを減少させるなら、それを仕掛けた方より、食らった方を批判すべきだ。昔なぜ変化・引き・はたきが少なかったのか?それは武士道精神とかそんな美徳でないない、ただ単に強靭な足腰と猛稽古の相撲勘で、技が効かなかっただけなのだ。今の時代、なぜ引き技が多用されるのかこれでわかったはず。ここを認めないと、相撲の発展は絶対にない。

 稽古場で引き技を使うと怒る風潮がいまだに残っているが、いい加減そんな時代遅れなことはやめた方がいい。どんどん多用させたほうがいい、普段から技をかけられることで、いざ本番になった時に体が反応するものだ。やっちゃいけない技だから大丈夫だろうと普段から脳みそがマヒしてたらいざ技をかけられた時、体は反応できないだろう。なぜそんなこともわからないのか不思議でしょうがない。

 押す力を鍛えなければいけないから、引き技は御法度というなら、ぶつかり稽古をたっぷり増やせばいい。ぶつかり稽古は体全部を目一杯使うから、押し相撲・四つ相撲関係なく強くなれる鍛錬法だ。スタミナもつくから長い相撲も平気になる、2週間以上も続く本場所の長いスパンにも耐えられる。効率重視な筋トレは大相撲のシステムにはそもそも向いてはいないのだ。

 

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