自伝番外編

長い相撲人生の中で苦しかったことばかりではない、楽しいことというかここだけの話というのもある。今回はそんなことに触れていきたいと思う。

我が地元山形県鶴岡市は、雪の降る地域。時には大雪になったりして交通網が乱れることもある、地吹雪が凄く地吹雪祭りなんてあるくらいだ。道場も例外ではなく、雪が積もればプレハブの簡素な作りの建物は危険と化してしまう。はぁ、今日も練習だと思って重たい気分で向かうと、「今日は雪掻き!」なんて言われた日にはテンションMAXで喜んで雪掻きに勤しんだ。

あと私は、とにかく根性がなかったので少々稽古がきつい時には、嘘で腹が痛いですと言ってトイレにこもった。ずっとこもっていれば、もう稽古終わりなんて言われたので、この作戦はしばらく続けたが、さすがにやりすぎたか、後々めちゃ怒られた。

死んだ前田も相撲の雑誌の取材で語っているが、とにかく道場の先生の稽古がきつくて、ビビっていた。先生は車で来るので、今日は臨時で来れないとかあるかなぁと、駐車場のチェックは怠らなかった。ある日車種は同じだが、いつもとホイールが違うので、別人の車だと期待したら新しいのに交換しただけだった。それ以来車のナンバープレートを嫌でも覚えてしまった。

車はあくまで第一段階、まだ望みは残っている。気が向かない時マワシを付けない場合があったので、第二段階として今度はそこに注目する。ポイントはマワシとタオルを入れてるオレンジのバッグだ。道場に入って、それは置いてあるとまずアウト。たまにないときは高確率でマワシを付けない、そんな私たちの子供心を知ってか知らずか、たまにフェイントでバッグは車に積んだままにして、後で取りに行くというパターンがあった。これにはさすがにメンタルがやられた。

でも、なんといっても楽しみは先生の作るちゃんこだったな。合宿とかで食べれるキムチ味のちゃんこは具沢山で美味しい、うちの親父が気に入りすぎて自分で作るようになった、そして私も作っている。先生も亡くなったけど、味はちゃんと受け継いでいるんだ。

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